雨の怪物


「だったら、もしかして・・・。」


 夢が何かに気がついたらしく、驚いた表情を浮かべる。


「そう・・・つまり、その『同じ星のめぐり』をたどった人間が、どのような人生を送ったのかを知ることによって、先輩の先の未来を見通すことが出来るというわけだ。ただ、今回は場所を特定する必要があったら、プロファイリングの要素も加えたが・・・。」


 悠人の言葉には、凄い説得力があった。


 つまり、悠人は先輩が今、どのような目にあったのかを知った上で、さらにプロファイリングの要素を加えて、場所を特定したというのだ。


 恐るべき魔法使い。


 雑誌の裏や朝のニュースで流れる占いのコーナーとは全然違う、何と言う高度な計算技術にまみれた、学問なのだろうか・・・。


「ちなみに、その占いの的中率は?」


 聞いてみる。


「さあな・・・集計したやつが居るわけじゃないから、わかんねぇ・・・ただ、占いっていうのは最近まで『政治』に使われていたぐらいだぞ・・・『当たらなければ、意味がない』ものだというのは、分かっているよな?」


 悠人の言葉。


 確かに、工業化の波が世界を覆いつくす前までは、宗教と占いは、政治と切っては切り離せない存在だった(今でも、宗教は切り離せていないが。)


 当時の政治家たちは、占いによって未来を知り、国の行く末をたどり、祭事を行ったのだ。


 悠人が行う占いとは、まさにそのための占い。


 当たらぬも八卦・・・では、許されないのだ。


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