雨の怪物

「だったら、俺が見たのは・・・。」


 いったい・・・。


「少なくとも、俺の占いとプロファイリングの結果が導き出した結果は、確かに由紀の言う『ブタ公園』だった・・・だが、そこには何もなかった・・・と言ったよな?」


 何もない・・・。


 つまり、先輩の遺体も、痕跡も・・・。


「だったら、それは先輩の幽霊・・・。」


 夢がそんなことだろうと、言葉を返すが・・・。


「何もないって言っただろう?・・・俺が、そんな分かりやすいもの、見逃すか?」


 自信に満ちた表情。


 つまり、悠人は「先輩の魂」も含めて、そこには何もない・・・と言ったのだ。


「じゃあ、俺が見たのはなんだったんだよ?」


 わけが分からなくて、思わず悠人に怒鳴りつける。


「さあな・・・少なくとも、俺の知識に及ぶものではない可能性が高い。・・・本当に、亜矢さんの言うとおり、雨の隙間から現れた『何者』かもしれないな・・・。」


 雨と雨の隙間には、入り口がある。


 どこの世界にも通じるとは分からない入り口が・・・。


 そういえば、先輩とあったあの公園に入った瞬間、雨がやんでいた。


 いや・・・やんだのではなく・・・・・・・・。


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