君の瞳に映りたくて。
憧れの君と急接近。
高校2年の夏ーー
私はすっごく不思議な体験をした。
「━━━いちについて、
よーーい ドンっ!!」
雲1つない、綺麗な青空の下を私は今日も走っていた。
「………はぁ…はぁ…
何秒?」
「12.9!
調子いいぞ!」
陸上部に所属する私はインターハイを終えて、引退先輩たちを引き継ぎ、この部のエースとして毎日気持ちよく走っていた。
「でもインハイ優勝するにはあと1秒は縮めないとだー。」
「そうだなー。
宮下の自己新は12.1だし、もう少し頑張んないと優勝は難しいな。」
「よし、先生!もっかいお願いします!」
夏休み真っ最中の今、私たち陸上部は毎日学校へ来ていた。
私は誰よりも早く、長く走っていたかったから。
「あ、舞桜(まお)!今日も来たよ!」
そういって私のところへ走ってくるのは、陸部マネージャーで私の大親友、榑林美乃里(くればやし みのり)。
そしてそんな美乃里の視線の先には、サッカー部の部員たち。
サッカー部は決して強くはない。夏の大会も初戦敗退。
それでも、いつも一生懸命で冬の選手権に向けて頑張ってる少年に、私は恋をしている。
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