君の瞳に映りたくて。



放課後の図書室には誰もいなくて、なのにエアコンがついていてひんやりとした空気が流れていた。


さーてと、何にしようかな。
童話とか恋愛小説でもOKならいいのに。

難しい本とか読めないよー。


「ん…」


…え?今なんか声が…
な、なんか怖いんだけど………

………こっちの方から声したよね?
誰もいないよね?

い、いや!お願いだから誰かいて!
今の声は人間の声だと言って!


そう願いながら本棚の向こう側を静かに覗くと………


「………んっ…」


…和泉と優衣ちゃんがキスしてた。
こんなところで。
和泉、部活じゃなかったの?


もう、見なかったことにしてさっさと出よう。
この本でいいや。


さっさと帰ろ。お腹すいた~。



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