君の瞳に映りたくて。
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「ただいまー。」
「おかえりなさい。」
「お腹すいた~!
杉山さん、ご飯なに~?」
「パスタですよ。
着替えてきたらご飯にしましょう。」
「はーい。」
この家にはいつも杉山さんしかいない。
お父さんはアメリカで起業し、成功させたIT会社社長。
銃社会のアメリカが嫌で、私はお母さんと一緒に平和な日本へ帰って来た。
………のに、お母さんはアメリカへと戻った。
なんにもできない私に不自由がないように、家政婦の杉山さんをこの家に置いて。
いいんだ、別に。一人だって。
気が楽と言えば気が楽。杉山さんもいて、お金もあって、友達もいてなんの不自由もない。
………寂しくないといったら嘘になるけどさ。
でも杉山さんは部活で遅くなっても私が帰るまで必ずこの家にいてくれる。
それだけで私は嬉しいんだ。
「着替えてきた!ご飯食べる~!」