君の瞳に映りたくて。
絶不調。
「あーーっ!!もうっ!!」
「まぁまぁ…落ち着いて…」
「ぜんっぜん走れない。」
和泉に嫌いと言ったあの日から、私はまた和泉を見るだけの習慣に戻った。
結局忘れることはできてない。無意識に目で追ってる。和泉をどこまでも追いかけてる。
毎朝香坂と挨拶を交わしても、絶対に和泉とは目が合わない。
………自分が望んだこと、それなのに………私は全く前に進めていない。
そしてあれから、私のタイムは全く伸びなくなった。
「もう一回走る。」
「舞桜…そろそろ休憩したら?」
「もう1本だけ。」
私は強く美乃里に言って、またタイムをはかる。
「よーーい、ドンっ!!」
………重い。
足が重い。体が重い。
私、こんなに遅かったっけ。
「………タイムは?」
「14.1。
宮下、最近調子悪いな。
ここ1週間、13秒を切ったことないし、日に日に遅くなってる。」
………そうなんだけどさ…
「明日からテスト前で部活も休みになる。
しっかり休んでこい。疲れもたまってるだろ。
宮下はいつも誰よりも長く練習してるしな。」
「はい。」
「ちなみに、赤点があると1週間補習があって、部活出れねーからな。
今の宮下は部活よりも勉強だな。」
「………さらにやる気なくなる。」