君の瞳に映りたくて。



「………なんかしたといえばしたし、してないと言えばしてない。」


和泉が私に好きだと言ったとき、私がどれだけ舞い上がったか知らないでしょう。
彼女がいる和泉に対しての返事を、一晩中考えたことも知らないでしょう。

………なのに、次の日には全てを忘れた和泉になってて、返事を聞かせてと言った和泉は、あれから私になにもしてくれなくなった。


"返事を聞いてほしい。"


たったそれだけの願いすら、和泉に届くことはないんだ。


「それ、祥也にも言われたんだけどどういう意味?」


「そのまんまの意味。
………私は和泉の友達にはなれない。ごめん。」


この前も傷つけたのに、またこんな答えでごめん。

………でも、私は和泉の友達になりたいわけじゃない。
私は誰よりも和泉のそばにいたくなってしまったから。

たった1週間だけど、和泉のそばにずっといたから、友達なんかじゃ満足できない。
和泉の幸せを願う私は、もうここにはいなくなってしまったから。


私は、和泉の一番になりたい。
また和泉に好きになってもらいたい。
…そんな叶うわけない願いのために、友達にはなれない。


友達でもいいからそばにいたいと思える人ならよかったのにね。


「………そっか、わかった。」


叶うことがないなら、いっそのこと嫌われた方がましなんだ。


「それじゃ、私部活だから。」


ごめんね、和泉。



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