君の瞳に映りたくて。
和泉と友達になります。
私は誰に守られてる
***
「あー、お腹すいた。」
「こっちのが腹減ったっつーの。
もう8時じゃねーか。」
「だってぜんっぜんタイム上がんないんだもん。」
優衣ちゃんと和泉が帰ってからも、散々走って、香坂に怒られて、やっと私たちはファミレスへと来た。
「調子悪いときは気分転換した方がいいんじゃね?
走り込んだって悩むだけだろ。」
「気分転換ねぇ…
でもさ、今まで走って気分転換してきたから、なにが気分転換になるのかわかんないし。
こんなに走るのが辛いのも始めてだし。」
「まぁそりゃ見てりゃわかるけど。
宮下って本当に楽しそうに走ってたのに、今日は全然だったもんな。」
「なんかさ、ほんっと情けないよね。
和泉が好きでさ、和泉があんなんになって、私だけが和泉のこと見えて、和泉とすごしてもっと好きになって、なのに忘れられて
たったそれだけの事で、走ることすらできなくなってきてて、ほんと、自分が嫌になる。
なんでこんな弱いんだろーって。」
「………俺さ、ずっと思ってたんだけど、宮下ってなんでいつも笑ってんの?」
「え?だめなの?」
「いや、そういうことじゃねーんだけどさ、
辛いときは泣けばいいのに。
そんな笑ってると、こっちも慰める気なくなるっつーさ」
「…笑ったって泣いたって、結果は変わんない。
どうせ一緒なら笑ってたほうが幸せでしょ?
………いつだったかな、弟が言ってたの。
私が中学生の頃大会に負けて、悔しくて部屋で泣いてたときがあって。
その時に、泣いてる暇があれば練習すればいいのに。
泣いたって結果は変わらない。泣いてる時間に努力したほうが、次の結果に影響するんじゃない?って。」
「へー、弟なんていたんだ。」
「………うん、まぁね。
ほんっと出来た弟でさ、勉強もできて、お姉ちゃん思いですごい仲良かったの。私も弟が大好きで。
小さい頃、弟がいじめられたことがあったの。その時弟は泣くこととか全くなくて。
それでね、お姉ちゃんが笑っててくれれば僕も笑ってられるから、って。
どんな映画のセリフなんだ!って思ったんだけど、それが結構嬉しくて。
それからかな、泣くことをやめたのは。」
どんだけ私もブラコンなんだって思うけど、それでもやっぱり生きられなかった弟のために、私は幸せになって、たくさん笑おうって決めたんだ。