君の瞳に映りたくて。
「でも、こうして見るとここ本当にいい景色なんだな。」
「でしょ?
川もすごい綺麗だし、河川敷も綺麗だし、月も見えて。」
昔からだいすきだったもん。
ここの近くにまた住めて幸せ。
「…あ、私こっちだから。」
「いや、家の前まで送る。」
「や、ほんとにいいから。」
「え、ここ春翔んちすぐ近くじゃん。
もしかして近所?」
「…実はね?」
和泉んち近くだってことはバレてもいい。
でも…あの家はあんまり見せたくない。
金持ちだなんて思われたくない。
「だから、ここまででいいから。」
「………わかったよ。」
「じゃーね。」
私は香坂に手を振って、河川敷を降りた。
河川敷を降りたら徒歩2分ほど。
本当に送ってもらうほどでもない。
人はいないけど真っ暗なわけでもないしね。
河川敷を降りて後ろを振り返れば、まだ香坂が立ち止まっていた。
「早く帰りなよ!」
「はいはい、わかったよ。」
さて、帰りますか。