君の瞳に映りたくて。
「まず、俺自分が誰なのかわからない。名前も、今君に"いずみ"って呼ばれてるから、それが名前なのかな?程度。
………だから、俺と君の関係性とか、君が誰なのか全然わからない。
記憶がほとんど抜けてて、なんでこうなったかわからないんだ。
いつからこうなのか、なんでこうなのか………
気がついたときには俺は宙に浮いてて、病院でベッドには俺が寝てて、寝てる俺の横で母さんが泣いてて、父さんが立って俺をみてた。
両親の事は覚えてる。なのに自分の名前はわからない。
俺はこの状況がわからなかった。信じられなかった。
夢だ、そう思った。でもどうやっても目なんか覚めなくて…
助けてくれって強く願った。そしたらこの家の前に来てた。そこに、君が来たんだ。」
「ちょ、待って…
え、和泉は怪我かなにかしてたの?」
「ベッドで寝てた俺は頭に包帯巻いてた。
でも顔は傷とかなかったな。
よくドラマとかで出る心拍数はかる機械は動いてたから、まだ俺は生きてるんだと思う。」
「ちょっと待って…」
頭が…ついてけないんだけど…。
………と、とりあえずここにいる和泉は幽霊?というより幽体離脱とか生き霊みたいな…
幽体?霊?………よくわかんない…。
「ごめん、戸惑うよな。」
「えと…助けてって願ったらここに来たって、理由はわからないんだよね?」
「全くわからない。
でも、ここの家に住んでる人なら俺を何とかしてくれるかもって思ったら君が来て、俺の姿が見えたのも君だけなんだ。」
………じゃあ私が何とかすべき…なの?
でも、私なんかなにもできない。本当になんで私なの…?
「………とりあえず、君は名前なに?」
「あ、宮下舞桜。
桜が舞うで、舞桜。」
「俺は何て呼んでた?」
「………呼ばれたことないや。
クラスメイトなんだけど、話さなくて。
だから好きに呼んでいいよ。」
「じゃあ、舞桜。」
ドキンっ…
こ、こんな時に名前で呼ばないでよ!
無駄にドキドキしちゃうじゃん…
「う、うん。」
落ち着け、私。落ち着け。