君の瞳に映りたくて。
「ここならいいでしょ?
何があったか言いなさい。
このままじゃ、あんた、満足に走れないでしょ。」
私は美乃里に、クラスの一番後ろ、みんなが見ていないところへと連れてこられた。
「…美乃里~…」
「はい、ちゃんと話しなさい。」
「………あのね、和泉別れたの。」
「え?」
私は、和泉がなんで事故を起こしたのか、部室で聞いた話、香坂から聞いた話、全てを美乃里に話した。
この子はとっても口も固いから。
「なるほどねー…優衣がねぇ…」
「和泉が別れたなんて、和泉が好きな私にとっては嬉しい話なんだと思う。
だけど、全然嬉しくないんだ…」
「そりゃそうでしょ。
あんたがどれだけ和泉を本気で好きなのか、私も知ってるし。」
「え?」
「あんたは、和泉の幸せを願ってた。誰よりも。
だから、和泉が傷ついてるならあんたも傷つく。
たったそれだけのことじゃない。
でもね、あんたも和泉が好きなら、一緒に傷ついてるんじゃなくて、あんたが幸せにしたいって思うくらい、強くなりなさい。
恋ってそういうもんでしょ?」
「………そっか、そうだよね。」
「私が笑わせたい、私が幸せにしたい
そう願うのが恋なんだよ、きっと。
あんたはいい恋してるよ。」
「ふふ、ありがと。
なんかスッキリした。」
「舞桜は笑ってる方がいいよ。」
「うん!
あー、早く走りたくなってきたよー。」