君の瞳に映りたくて。



………やっぱり、今日のグラウンドは輝いて見えるや。
体育祭だからかな。

スケートやアイスホッケーに氷の女神がいるなら
水泳に水の神がいるなら

きっと陸上にも地の神がいるんだろうな。


「宮下ってさ、なんでそんな嬉しそうにグラウンドを見つめんの?」


「………今日のグラウンドは、みんなに走ってもらって嬉しそうだから。」


意味不明かもしれない。
でも、サッカーを頑張ってる和泉には伝わるかもしれない。

きっと、サッカーにもピッチの神がいるから。


「こんな日は、速く走れる気がする。」


「………じゃあ俺も頑張らないと。」


「当たり前じゃん。
手抜いたら許さないからね?」


私が少し笑いながらそう言えば、和泉も笑顔を返した。
あれから、和泉はやっと笑った気がする。


怒って、悲しんで、笑って………
今日の和泉はいつにも増して人間らしかった。



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