君の瞳に映りたくて。



「………仕方ない、走るか。」


「でも舞桜、スパイクじゃなくていいの?滑るじゃん。」


「いいよ。どうせ先生の自己満足のために走るだけだし。
スタートライン行こ。」


一本だけ。
今日は疲れたから早く帰りたいよ。


「はい、じゃあ和泉もスタンバイして。」


「っていうかなんで俺と宮下?
男のが速いに決まってんじゃん。」


………男の方が速いに決まってる?
そんなの…「やってみなきゃわからない。」


え。


「でしょ?舞桜。」


「………うん。」


私は誰にも負けたくない。


「先生ー、行くよー?


いちについて

よーーい、ドンっ!!」


当然だけど、スタートは私の方が速い。
毎日練習してるんだから当たり前。


だけど、思ってたより早くに和泉の姿が見え、抜かされた。

だけど…負けたくない。
私はもう負けない。




「はぁ…はぁ…何秒?」


「………きた、きたぞ!宮下!
11.5!」


「………え、嘘。」


「やっぱなー!宮下には身近にライバルがいなかったからな~!
和泉なら互角に行けるかもと思ったんだよー!

あー、こんなことならスパイクに履き替えさせればよかった!
でも自己新だな!」


11.5…本当に…?
最近ずっと13秒オーバーだった私が…?


「この調子で伸ばしていけば、来年のインハイ制覇は夢じゃないな!!」


「先生、俺は~?」


「あ、和泉のははかってないんだ。悪いな。
まぁでも宮下と互角だったし11.3くらいかな。」


「うわ、テキトー!」



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