君の瞳に映りたくて。



「俺の名前は?」


「和泉春翔。
和風の和に泉に春を翔るで和泉春翔。」


とりあえず私は私と和泉の名前を漢字で紙に書いた。
その方が分かりやすいだろうし。


「へぇ、和泉って名字なのか。」


「そうだよ。」


「なぁ…俺のこと、もっと教えてくれない?
やっと話し相手ができて、俺今すげー嬉しいんだよね。」


そうやって向けられた笑顔に、私の胸はまた高鳴った。
こればっかり。
もう和泉の近くにいると動機がすごくて………


「う、うん。私よければ。
………和泉は明るくて、人気者で友達が多いよ。
彼女もいて、すっごいラブラブだったの。
昨日なんて、図書室でキスしてるとこ私見ちゃったんだよね。
ごめんね。」


「へぇ…俺に彼女か。」


「全然覚えてない?」


「全く覚えてない。
俺に好きな人か………その彼女とはいつから付き合ってる?」


「んーとね、確か高1の夏かな。
だからちょうど一年過ぎたくらいだと思う。
中学は違ったって聞いたけど。」


「………そっか。」


「あとね、サッカー部だよ。
和泉はすごくサッカーがうまいのに、弱いチームを強くしたいって言って、強豪高を選ばなかったの。
その決断はすごいなーってずっと思ってきた。

毎日すっごい部活頑張ってて、サッカーが本当に好きなんだなって伝わってきてた。」


「………俺のこと、よく見ててくれたんだな。」


「え!べ、べべ、別にそん、なこと…」


「はは、なに慌ててんの?」


もう、この人は……これじゃ私の身がもたない………



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