君の瞳に映りたくて。
インハイ制覇、か………
「舞桜にはライバルが必要だったんだね。」
着替えながら美乃里がそんなことを言うんだけど
………それは、違う気がする。
負けたくない、それだけのことであそこまで伸びたなら、大会ではどうして伸びない?
きっと、それだけじゃないんだ。
単純に、和泉と走ることが楽しかったんだ。
和泉だから。和泉だったから。
…それがなぜだかはわからないけど………
「和泉が陸上部だったらよかったのに。」
美乃里はそういってロッカーを閉めた。
「帰ろっか。」
私もそういってロッカーを閉めた。
恋の力、なのかな………
「あ。」
「………ん?」
なぜだか部室のドアを開け、立ち止まる美乃里。
「どうしたの?」
「今日智哉と約束してたのすっかり忘れてた!!
やっば!時間もう過ぎてるし!!」
「はは、そっか。じゃあ先に帰りなよ。
部室の鍵なら返しとくから。」
「ごめん!舞桜!ありがと!」
美乃里、遅刻多いもんなぁ。
私はもう慣れたし美乃里は遅れても必ず来てくれるから別にいいけど…それが原因で別れてもやだしね。
まぁ長谷川くんに限ってそんなことで別れたりしないだろうけど。