君の瞳に映りたくて。



「さてと、そろそろ帰ろ。
宮下、家族が心配してんじゃない?」


「家族、いないし。」


「………え?」


「あ、別に死んでないからね?
仕事の都合で一緒に住んでないだけだから。」


「…そっか。
じゃあ寂しいな。」


「………うん。」


前は寂しいなんて思うこと、あんまりなかった。
でも、和泉とたった1週間時間を共にしただけで、一人でいることが寂しくて、怖くて仕方なくなった。


「降りよ。」


「うん。」


でも、和泉がいるだけで、全然怖くない。
安心する。

和泉といるとドキドキもする。
面白くて楽しくて心から笑える。

だけど、どこかすごく安心できるところもある。


それが和泉の最大の魅力なんだろうな。


「そこ、段差あるから気を付けて。」


「うん。」



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