君の瞳に映りたくて。



「よっと。ふぅー。
ほら、掴まれば?」


最後の段差、宮下は私に手を差し出した。


「え…いいの?」


「え?なに、当たり前じゃん。」


意識、し過ぎか………


「あ、りがと。」


うわー…和泉に初めて触るよ。
和泉の手だぁー…


「…っと。
ありがと。」


和泉に手を離されるのがいやで、私はさっさと自分から手を離した。


「どういたしまして。
家どっち?」


「え。」


………もしかして、これは送っていくよ、みたいなパターンか!?
いや、それはまずいっていうかなんていうか…


「え、じゃなくて、どっち?
送ってくし。」


やっぱり!!


「いや、あの、遠いから…」


「じゃあ俺んちすぐそこだからチャリ持ってくる。」


「二人乗りは違反だし!!」


「前に祥也の後ろ、乗ったことあるだろ。」


な、なんでそんなことまでバレて………


「えーと…じゃあ香坂呼ぶし…」


「俺がここにいんだから俺でいいじゃん。
ってか祥也はよくてなんで俺はダメ?
祥也は家しってんの?」


「いや、知らないんだけど…」


なんか…まだ香坂に知られた方がましっていうか………
和泉んちの斜め前なのに………


「あー、と…
走って帰るから!!」


「逃がさねぇ。」


え、うわ!手が………


「また襲われたらどうすんだよ。
いいから。家どこ。」


………仕方ない。



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