君の瞳に映りたくて。
「あれ、これ家族?」
「ん?あ、そうだよ。」
和泉の目線の先には並べてある家族写真。
その家族写真のもとに和泉は少しだけ浮いて、足を動かさずに移動していて、幽体なんだと改めて思い知らされた。
「なんか舞桜少し幼い。
舞桜のとなりにいるのは?弟?」
「…うん。
5歳下で、生きてれば今年小学校卒業だったの。」
「………生きてれば?」
「2年前にね、殺された。
………目の前で。」
「え…?」
「私、アメリカに住んでたの。5歳の時に移住して、弟は向こうで生まれた。
ちょうど2年くらい前かな。
家族四人でスーパーへ買い物に出掛けてたの。
会計も終えて、もう帰ろうとした時だった。いきなり3人の男が銃を乱射したの。私たちの目の前で。
咄嗟に逃げたんだけど……たまたまその1発が弟の頭に当たって…即死。
私は無傷だったけど、あとはお母さんが逃げたときに足を怪我して、お父さんは腕に銃弾をかすめた。
日本だと考えられないんだけど、アメリカって拳銃をわりと簡単に手に入れることができるの。
そんな銃社会が嫌で、私は日本へ帰って来た。
平和な日本にいたくて。」
この国は世界一平和な国。
この国でも犯罪は多いけど…でももうアメリカは嫌だった。平和な日本が懐かしくなったんだ。