君の瞳に映りたくて。
「っていうか今日誰かんち行くの決定?」
「や、なくていいと思う。」
美乃里の質問に、なぜか和泉が即答した。
和泉ならみんなで~、とか好きそうなのに。
「っていうか学級委員、まだおわんねーの?」
「あのねぇ、みんなはもっと普通調べて話し合ってるの。ここだけでしょ、こんな調べもせずに行き先決めてるの。
舞桜がいなかったらこの班こそ終わってたよ。」
「でもさ、なんで今年はロサンゼルス?
去年はカナダだったじゃん。」
「さぁ?
まぁ行き先は毎年変わるみたいだしね。」
ふーん。
まぁどこでもいいんだけど出来れば国内がよかったな。
沖縄とかさ。行ってみたいよ。
「この持ち物のチップ用紙幣ってなんなの?」
「アメリカでは必要になるから、って。」
「そりゃわかるわ!
いくらくらい必要なのかって。」
「知らないよ。
そういうのも自分達で調べるのが修学旅行なんでしょ?」
なんか、美乃里と話す和泉見てるとコテンパンにやられてて面白いや。
「チップは基本的に1ドル紙幣で渡すの。
だから1ドルをすぐに出せるように、胸ポケットとかに常備しとく。盗まれてもいいように、10枚以下でなくなったらお財布からまた出してポケットに、みたいな。
お財布から出すと変に期待されることもあるから、なるべくポケットからさりげなく、ってほうが固いかな?
相場はレストランとかタクシーなら20%くらいかな。」
「…やっぱ経験者がいると違うな!」
「修学旅行なんだからみんなもそういうの勉強しないと。
こんなの基本中の基本なんだから。」
「今、勉強になった!」
もー、どんだけ和泉は適当なの。
美乃里はちゃんとメモまでとってるのに。
「でもさ、やっぱり日本ではない習慣だから、普段いかない人にとってはその行為さえも修学旅行の意味があるね。」
ほら、美乃里はどこまでも真面目だよ。
「どちらかといえば、英語ができてアメリカになれてる舞桜のが修学旅行で行く意味がわからなくならない?」
「えぇ!そっち!?」
「は?」
私のことを言いたかったのか、この子は…
………まぁ、ロサンゼルスに行って、私が学ぶことはほとんどない。きっと。
ただの思い出作りだと思う。