君の瞳に映りたくて。


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「はい、どうぞ上がってください。」


「………すっげー…」


「………和泉ー?行くよー?」


「俺こんな広い家、初めて見た。」


「広いだけ。魅力なんてそこだけだよ。」


暖かさなんて、少しもない。


「早く上がんなよ。」


「あ、おう。」


「おかえりなさい。
………和泉春翔くん、ですか?」


「え?うん。そう。
よくわかったね。」


「そりゃもちろん。
私は昔からこの家にいますので、ご近所さんの顔と名前は覚えていますよ。」


「はは、そっか。
部屋で勉強するからお茶お願い。

和泉いくよ。」


「あ、あぁ。」


別に長い長い廊下があるわけでもない。
たくさんのメイドさんがいるわけでもない。
普通の家より少し広いだけの家なのに、なにをそんなに見渡してるのか………


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