君の瞳に映りたくて。


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「うー、なんか頭が煮えた…」


結構頑張ったよ、私。
覚えようと必死だったよ……


「本当、よくおぼえたなー。」


「でしょ!」


「これ、なんて読む?」


「なかのおおえのおうじ。」


「おー。」


おーって。
本当にバカにしてるでしょ、私のこと。


「じゃ、今日は終わるかー。」


「もう頭が働かない……
お腹すいたー。あ、和泉食べてく?
でもこんな時間じゃもう家で用意してるか。」


「いや!食べてく!!
俺んちまだ絶対作ってないから!」


「そう?じゃあ杉山さんに言ってくる。
ちょっと待っててね。」


ちょっと体動かさないとムリ!
一時間以上もよく集中したね、私。
……香坂の時はあんなに続かなかったのにね。


「杉山さーん。
和泉もご飯食べてくって。」


「わかりました。
じゃあできたらまた呼びますね。」


「ありがと。」


17時半かぁ。
あっという間だね。


「ごめんね、お待たせ。」


「宮下ってさ、サッカー好きなの?」


「え?」


「これ、サッカー雑誌じゃん。
それにリーガのスケジュール。」


「あぁ、それは私のじゃなくて…」


和泉が見たいって、あの頃言ってたから………
なんて、覚えてないよね…


「………誰の?」


「あげる。その雑誌。」


「え?でも誰かのなんだろ?」


「その人はもう忘れちゃってるから。
ほしいならあげる。」


「…まじでいいの?」


「うん。
私が見てもよくわかんないし。」


「なら一緒に見ようよ。
俺、教えるし!」


「覚えられるかなー。」


「中大兄皇子より簡単だから。」


「はは、なら大丈夫かな。」



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