君の瞳に映りたくて。
「でも私、RMの選手は結構覚えたんだよね。」
「え、まじで!?
俺そこが好きなんだよ!」
知ってるよ。
だって和泉に近づきたくて覚えたんだもん。
それからはひたすらサッカートーク。
誰が好きで、この人はなにが得意でって細かく説明してくれて、和泉はサッカーの話をしてるときがやっぱり一番輝いている。
「和泉って本当にサッカーが好きなんだね。」
「だって面白いし!
宮下も知れば絶対好きになるよ!」
「はは、そっか。
じゃあ今度は試合見てみよっかな。」
………こうしてると、前のことが蘇ってくる。
和泉が毎日いたあの頃に。
あの頃が本当に懐かしいや。
「…和泉さ、優衣ちゃんに未練とかないの?」
「ない!
つーかさ、優衣にだったり、クラスのやつらにあんなに言ってくれた宮下には言わないとと思ってたんだけど、実は俺、優衣のこと好きじゃなかったんだ。
前はちゃんと好きだったんだけど…夏休み明けてからは全然で。
だからそのうち別れようと思ってた。
むしろいい機会だったんだ。」
「そうなの?」
「うん。
だから未練なんて全くない!」
「そっか、よかった。」
「あの時は本当にありがとな。」
「ううん。
私がムカついただけだから。」
でも、和泉が未練ないならよかった。
ほんとに。
余計なことしたかもって思ってたから。
「騙されてたのはムカついたけど、宮下が殴ってくれたからまじスッキリしたんだよ。
男は女の子と殴れないからさー。」
「もうあの時は夢中で…」
「なんだかんだ、俺のこと大事に思ってくれてんだもんなー。ツンデレか!」
「なっ、違うよバカ!」
「あ、俺にそんなこと言ってるともう教えないぞー」
「別にいいよ、香坂いるもん。」
「………なんか、腹立つ。」
「ふふ、勝ったー。」
「くっそー。」
くっだらない。
でもそんなやりとりが楽しくて仕方ないと言うやつだ。