君の瞳に映りたくて。
「宮下ってさ、弟いたじゃん?
弟は親と一緒にすんでんの?」
「………ううん。弟も一人、かな。」
「は?え、でも小さくなかった?
年離れてるよな?」
「うん。
まぁいろいろ事情があるもんなの!」
「そっか。なんかごめんな。」
「ううん、いいよ。」
弟、か………
ちゃんと眠れてるのかな。
どっか浮浪してないかな。
「名前、何て言うの?」
「弟?」
「うん。」
「まさき。将軍の将に生きるで将生。」
「へー、仲良かった?」
「うん。すっごいね。
………いろいろあったから、私と将生はよく一緒に遊んでたな。」
「へー、いいな。
俺は一人っ子だから羨ましいよ。」
「そうかな。」
生きてれば、だけどね。
「あ、送ってくれてありがと。
また明日ね。」
「おう、またな。」
香坂の家からだと近いからあっという間。
和泉と一緒だとさらに早く感じちゃうからやだ。
好きな人との時間はなんでこんなに短く感じちゃうんだろう。
「ただいまー。」
「おかえり。」
「………え、お母さん…どうして…」
「ちゃんとリビング来てくれる?」
「…うん。」