君の瞳に映りたくて。
「なぁ、舞桜。
舞桜は犯罪ばかりのアメリカが嫌で日本に戻ってきたんだろ?
それなのにこれじゃ…アメリカにいたって変わらないじゃないか。
それなら一緒にアメリカに戻ろう。」
「………だと思った。
二人は私を連れ戻すためにしか戻ってこないもんね。」
「そんなこと…」
「私は戻らない。
私はここにいる。アメリカなんて大っ嫌い!」
「………舞桜。」
「お父さん、私がどうして事件のことを言わなかったかわかる?
そうやって理由こじつけて連れ戻そうとするってわかってたからなの!
私はずっとここにいる。
犯罪は確かにあるかもしれない。
だけどここには守ってくれる友達がいる。
安心させてくれる友達がいる。
アメリカにいたって日本にいたって犯罪に巻き込まれるなら、助けてくれる友達がいる日本にいたい。
………わかってくれるでしょ?」
「…舞桜、お父さんも心配なのよ。
アメリカにいたらお母さんたちにもできることはある。
ここにいたら、私たちはなにもしてあげられない。
ここでもし、舞桜も将生みたいなことになったら、きっとお父さんとお母さんは一生悔やむと思うの。」
「…ここで、この平和な日本で銃乱射事件なんて起きない。私は将生みたいにはならない。
それに、私がアメリカに戻ったら、そこで事件に巻き込まれても悔やまないの!?
将生のことは悔やんでないの!?
………そんな単純なことなの?
二人が安心したいだけなら、そっちが日本に戻ってくればいいじゃない!」
「仕事があるんだ。簡単に戻ってくることはできない。
それは舞桜もわかってるだろ?
舞桜はまだ学生だ。勉強ならアメリカでもできる。
だから舞桜…」
「違う、違うよ。
ここでの勉強はアメリカではできない。
アメリカと日本では勉強内容全然違うの。
…私、中大兄皇子って人だって最近知ったの。
こっちでは小学生で習うって言ってた。
ほかにも知らないことっていっぱいあるの。
やっと楽しくなってきたの。」
「それなら、日本人学校に通えばいい。
日本の知識だって学べる。
友達だってまたすぐできるよ。」
「………どうして、いつも私の意見を聞いてくれないの?」
「聞いてるじゃないか。
だからこそ、今舞桜は日本にいるだろ?」