君の瞳に映りたくて。



それからバスに乗ると、私と和泉は隣同士で席に押し込まれた。


「眠いもの同士、おとなしく寝てなさい!」


と、美乃里にキレられて。

いつもなら和泉が隣にいるだけでドキドキするのに、今はもうそれどころじゃない。
眠すぎて、寝ることが最優先なんだ。


「宮下のせいで榑林に怒られちゃったじゃん。」


「和泉のせいでしょ。
もう限界、寝るからね。」


私がそういって下を向いて目を閉じると、和泉はまた耳元に近づいてきて

「おやすみ」

と言って、そのままこちらを見ながら寝た。


たまたま寝やすかった角度だったから私の耳元で囁いたまま寝たのか、
あえて私の耳元で囁いたのかわからないけど、さすがに耳元で囁かれると胸が高鳴る。

この人は無意識にそういうことをしてくるのか、私だからあえてそうしてるのかわからないけど、無意識ならそうとう危険だ。


どっちにしろ、これが1週間続くのは私が耐えられない。


………気持ち良さそうに寝やがって。
私ももう寝よ。


「おやすみ。」


私もそう呟いて眠りについた。



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