君の瞳に映りたくて。
私はホテルの窓から見られないように、木に隠れながら、フードもかぶって少し辺りを歩いた。
それでも見つからなくて、和泉にLINEすると
"ずっとまっすぐ歩いてきて"
とのことなので、木に隠れながらひたすら奥に進んでいった。
真っ暗だから、ちょっと怖さもあるけど………
あと少しで和泉に会えると思えば頑張れる。
………あれ?あれ、かな?
和泉だよね?
芝生に座って空を見上げる男子。
あれは、間違いない。和泉だ。
よかったー。
「いず…」
………あれ?
私より前に、和泉に近づく女の子が一人。
その女の子の足音に気づき、和泉が後ろを見るも
「春翔…」
「………なんだ、優衣かよ。」
和泉は表情を変えてまた前を向いた。
私は二人から5メートルほど後ろの木の陰にいて、はっきりいってすぐそこにいるから私のことは見えてないんだな、と思うしかなかった。
「あの…春翔に話があるの」
「………俺はお前の話なんか聞く気にもならないから。」
和泉はそういって立ち上がり、こちらに向かって歩き出して、そこでやっと私の存在に気がついた。
「なにやってんの。
あっち行こ。」
「え、でも…」
「いいから。」
………でも、優衣ちゃんはすごく真剣な顔をしてるし、和泉だって、決していいとは思っていない顔をしてる。
このままで、いいのかな…