君の瞳に映りたくて。



「ほんとにいいの?」


「本当にいいの。
言ったじゃん、俺はもう冷めてたって。
なんつーか、ムカつくんだよね。見てて。

だからいい。」


「………そっか。」


「あっち座ろ。」


「うん。」


本当にいいの?なんて聞いときながら、和泉が優衣ちゃんのところへ戻らなかったことに、私は一人で安心していた。

そんな自分が嫌なのに、好きという気持ちはどうしても抑えられなくて………


「よしっ、ここにしよ。
………あーっ、気持ちいい。」


そういって和泉は芝生に倒れた。
だから私もその横に座った。


「なんでフードかぶってんの?」


「んー、見られないように?
なんとなくだよ。」


「はは、なるほどな。」


和泉はそう言うと体を起こして、私のフードをとった。


「…髪型が変わるだけで印象って変わるもんなんだな。」


「ふふ、そりゃそうでしょ。
和泉だって、今はノーセットでさらさらしてるじゃん。」


私はそういって和泉の髪の毛に手を伸ばすと


「まぁシャワー浴びたあとだしな。」


和泉がそう言い、私の結んでいたヘアゴムをとった。


「こっちのがかわいい。」


なっ…なにを言ってるんだ、この人は!!
………暗くてよかった。


「なんで急に黙ってんの?」


「べ、別に…!」


「あ、照れたんだ~?」


「うっさい!バカ!」


「えー、俺傷ついちゃうよー。
宮下に嫌われんのが一番ショックだわー」


………ねぇ、和泉…
それって私のことを特別に想ってくれてるの?

私期待しちゃうよ…?



< 294 / 500 >

この作品をシェア

pagetop