君の瞳に映りたくて。



「…宮下、前ロスに住んでたんじゃね?」


「は?なんだよ、急に。」


「前に宮下言ってたんだよ。
日本に住んでなかったって。
帰国子女か聞いたらそうだって言ってたし。
……俺、そんなことすら忘れてたんだよ。最近まで。
あいつが英語ペラペラなのも、ロサンゼルスについて詳しいのも、あんな男と幼馴染みってのも、きっとあいつがロス育ちだからなんだよ。」


「春翔、それいつ宮下から聞いたんだ?」


「入学式の日。」


「ふーん、そ。」


なんなんだ、そのガッカリ感は。
俺なんか変なこと言ったのか?


「でもやっぱ宮下んちって金持ちなんだな。
家もでかいし。」


「は?春翔家しってんの?」


「前に家まで送ってったから。
あ、これ言っちゃダメなやつだった。」


確か人には言いたくないとか言ってたような……


「内緒で頼むわ。」


「別に言わねーけど。」


……だよな。
わざわざ言うやつでもないし、口も固いしよかったわ。



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