君の瞳に映りたくて。



和泉はすぐに写メを送ってくれて、私もすぐに保存した。
和泉との初めての二人きりでの写メが嬉しくて、きっと私の顔は相当だらしなかったと思う。


「ほーら、置いてかれるぞ?」


そんな私の頭に優しく手をのせて、優しく微笑んで、優しく言って、また私の心を揺さぶる。


"期待持たせるようなこと"なんてさ、和泉にとっては普通で、当たり前で、特別なことなんかじゃない。

私が勝手に勘違いしてただけなんだよね。


「……待ってよ!」


「走ると転ぶぞー?」


「陸上部なめないでよね!」


…やっぱね、私は和泉と一緒に走ってる時が一番楽しいよ。


「Please do not run in the park!」


「…Sorry…」


はは、怒られちゃった。
そんなのすら、和泉となら楽しい。


「何て言われた?」


「え、今のも聞き取れなかったの?
走るなって言われたんだよ!
そんなのもわかんないなんてやばいよ!」


「別にいいし。俺日本人だし?
宮下いたらこまんねーし!」


それは私がずっと一緒にいていいってことですか?
また思わせ振りな発言に心揺さぶられるんだけど。
…私の勝手な勘違いなんだけどさ……


「……あれ、祥也と榑林は?」


「あっちあっち。
ほら、あそこで買い物してる。」


「ちょ、待った。」


「……え?」


「俺あっち行きたい。」


「え?」


「いいじゃん。早く。」


「え、ちょ、二人は?」


「全然俺らのこと探してねーし、連絡とれるし別にいいじゃん。
あっちあっち!」


「ちょ、和泉!」


…また私の腕を引っ張って、私の心揺さぶって、なんなんだこの男は。



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