君の瞳に映りたくて。



……で、私たちが和泉希望のアトラクションに並んだ頃

"二人っきりのデート楽しんでね"と美乃里からメールが来た。


バレバレだし。
っていうか気づいててあえてはぐれたのか、あの二人は。


「……18時にエントランス集合、だってさ。
美乃里から。」


「え、普通"イマドコ!?"とかならねーの?」


「美乃里も香坂も気づいてて、あえて二人っきりにしたんだと思うよ。」


二人は私が和泉のこと好きなのも知ってるし、私がフラれたことも知ってる。

美乃里は、私が日本を離れることも知ってる。


だからきっと、あえて二人きりにしたんだろうな。


「…………ふーん。
じゃあいいじゃん。気兼ねなく遊べるな。」


ほら、またそういうこと言う。
私が和泉のこと好きだって知ってるくせに。
思わせ振りなことはするなって昨日言ったのにさ。


「これ、やる。」


「…なにこれ。ひよこ?」


和泉のポケットから出てきたのは、小さなひよこのぬいぐるみ。


「昨日買い物行ったじゃん?
そんとき見つけたんだよ。宮下みたいだろ?」


「え、これ?私?
……目、ちっちゃ。」


「いやなんか雰囲気だよ、雰囲気。」


「まぁいいや。ありがと。
大事にする。」


「おう。」


これが私に似てるって言われるのはなんかちょっと悲しいけど、まぁ愛くるしさはあるしさ。
和泉が私のこと考えて買ってくれたなら、それでいいのさ。



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