君の瞳に映りたくて。



「あ、もしかして観覧車とか嫌い?」


「ううん、嫌いじゃないよ。
私、昔から高いところから見下ろすのが好きなんだよね。
山の上から見下ろしたり。
あ、滑り台の上から見下ろしたりして。」


「あ、俺もそれよくやった。ガキの頃。
あの丘も、小高くて周り見渡せるしな。」


「そうだね。
上から見下ろして、今ここで生きてるんだなーなんてよく見てたよ。」


「なにそれ。病んでんの?」


「うーん、あの頃は病んでたかも。」


アメリカに引っ越したばかりの頃、仲の良かった子と会えなくなったのが悲しくて
将生が殺されたとき、本当にここが嫌で。

なんでこんなところで生きてるんだろうって。


「……宮下ってさ、たまに元気ない顔するよな。」


「あのねぇ、私だってそういうときはあるの!
常に元気だったらただのアホじゃん。」


「いや、ちげーの?」


「違うわ!!」


なんつー失礼なことを言うんだ。
さっきまで心揺さぶられてたけど、また揺さぶられたよ!ある意味で!!



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