君の瞳に映りたくて。
「なぁ、今日の夜また抜け出してこいよ。庭に。
俺また昨日のとこにいるし。」
「昨日のとこってあの奥の方の?」
「そ。
昨日話したとこより暗いからすげー星見えるよ。
いい感じに座りやすい石もあるしさー。」
「わかった。
じゃあ今日も行くね。
シャワー浴びてから行くから。
寝ないで待っててよー?」
「宮下こそ、忘れないでちゃんと来いよ?
俺あそこで一晩過ごしたくないから!」
「はいはい。忘れませんよ。」
「宮下の記憶力だと心配だな。
榑林にも言っとこ。」
「忘れませんー!」
「えー、じゃあ一応信じてやるか。」
なんなんだ、その上から目線は。
和泉って絶対私のことバカにしてるよね、全く。
記憶力の悪さは否定できないけどさ。
「あ、もう下だね。
一周なんてあっという間だねー。」
「宮下とだと話もつきないしな。」
「はは、そうだね。」
そういえば和泉といるときってずーっと話してる。
そして笑って、怒って、感情豊かになる。
「よいしょっと。」
「さてと、次はあっちだな。」
そうやって、私は夜まで和泉に振り回され、心も振り回され、美乃里たちと合流してホテルに戻った。