君の瞳に映りたくて。



「……よし、いないね?」


非常階段を急いで降りて、私はまたドアまでダッシュ。
こういうのだけは昔から得意だったんだよね。


「ふー、抜け出せた抜け出せた。
……またこの暗いところを歩くのか…
ここらへんで待っててくれればいいのにさ。」


私はまた500メートルくらい歩いた。
木の陰に隠れながら。

どこで先生見てるかわかんないしね。


えーと…あ、あそこの木のとこだよね、確か。


「ちょっと待ってよ春翔!」


え、えぇぇ!?
ちょ、待って待って…ここでいいや!!


と、とりあえず小さい岩なのか大きないしなのかわかんないけど、石と同化してみた。
……暗くて良かった…


突然和泉が出てきて、その背中に優衣ちゃんが抱きついてるんだもん…
これ、絶対見ちゃいけないところだよ……


「離せよ、しつけーな。
話すことなんかねーっつーの。」


絶対修羅場だよ!!まずいよ、これは。
なぜこんなタイミングに来ちゃったんだよ…


「……少しくらい話聞いてよ。
別れたときだって一方的だったじゃん。
少しは私の話聞いてよ…」


…なんか、今日私が和泉に言われたことみたい。
一方的で、少しは話聞け、なんてさ……


「………わかったよ。
すぐに終わらせろよ。」


「や、ちょっと長くなるかも…」


「はぁ?
……わかったよ。場所変えよ。」


「うん。」


そういって二人が歩き出した。
だから……私も気になって二人の後をつけちゃったんだ。



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