君の瞳に映りたくて。



優衣ちゃんは下を向いて、しばらく黙ってた。
その顔はこっちからは見えないけど。


「……本当はね、三ヶ月付き合って別れるつもりだったの。
だけど、春翔と付き合ったら春翔の良さに気づいて、春翔といるのが楽しくて……
いつの間にか本気で惚れてた。」


「嘘はいいわ。」


「最後まで聞いてよ。
それに全部本当のことしか言わないから。」


「……続きは?」


「うん…私は中学の頃から付き合ってる彼氏がいたんだけど、春翔のことを好きになって、春翔の本当の彼女になりたくて……彼氏に別れようって言ったの。
そしたら彼氏、すっごい怒って…暴力振られて無理矢理押し倒されて…だから私、彼氏と別れることができなかった。
怖くて、逆らえなくて…だから春翔といるときが本当に嬉しくて、楽しくて、部活も真面目に行くようになったの。
学校にいるときが本当に幸せで……

だけど夏休み入ってから春翔と出掛けてるとこを彼氏の友達に目撃されてたみたいで…
次の日彼氏にまた呼び出されて、監禁されて、DVされて、彼氏との行為なのに強姦みたいで……
本当にきつかった。

そんときに春翔が怪我して意識不明になって……
だからそれから私は春翔と外を歩けなくなったの。
春翔の顔がバレるのが怖かった。
彼氏に見られたら、春翔も絶対怪我させられるから……


そんなとき、体育祭で友達に春翔のこと聞かれてさ…あの時の友達が賭けてた相手でさ、私散々春翔のこと惚れないって言ってたから言えなくて……

それであんなこと言っちゃってて、それを春翔が聞いてて…


それで、全部です。」


「誰が信じるか」


「お願い、信じて……
私まだ春翔のことが好きなの!
……春翔は私のことが好きだったんでしょ?
私がどんどん春翔を好きになっていったの、春翔ならわさってたでしょ?
………どうして信じてくれなかったの?
どうして疑ってくれなかったの?

…私は、春翔なら話せばわかってくれると思ってた。
なのに、話すら聞いてくれなかった…」


なんか、聞いてるの辛くなってきた…
聞いてるのが申し訳なくなってきた…


「……それは、悪かった。ごめんな。」


「…信じて、くれる?」


「……信じていいんだよな?」


「うん!お願いだから!」



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