君の瞳に映りたくて。



「で、なにがあったわけ?」


だけど私の涙なんてものはすぐに止まって、深いため息をついたら香坂から聞かれた。
そりゃそうだろうけど。さっきの言い方じゃ意味不明だろうから。


「私が和泉に近づいたとき、優衣ちゃんが和泉にだきついてるところで、とっさに隠れて話聞いてたの。
その途中に和泉からさっきのLINEが来て。
で、優衣ちゃんの二股話になったんだけどね、優衣ちゃん彼氏いたのに友達と賭けてたんだって。学年で一番モテる和泉を落とせるかって。
それで和泉と付き合ったんだけど、付き合ったら彼氏より和泉を好きになっちゃって、それで彼氏に別れを告げたらDVを受けて、性的暴力もあったみたいで怖くて別れられないって。
体育祭のあれは賭けをしてた相手に話を振られて、素直になれなかっただけだって。

それを信じてくれって話してた。」


「で、春翔は?」


「信じるみたいよ?
付き合ってた頃みたいに、優衣ちゃんに優しくしてたし。
そりゃあんなかわいい子にかわいくお願いされて泣かれたら仕方ないけどさ。
っていうかより戻したりして。」


「春翔はもう好きじゃねーよ。
それはないんじゃね?」


「どうかな。
最初だって好きじゃないのに付き合ったわけだし。
可能性は0じゃないんじゃない?」


「……まぁそうかもだけど
宮下はそれでいいのかよ。」


「別に。
なんかもうよくわかんない。どうでもいい。」


私の心はもう荒れ放題で
和泉と優衣ちゃんが元通りになったら嫌だし
和解してなかよくなるのも嫌だし
和泉に嘘をつかれたも嫌だし
和泉を信用できなくなってきた自分も嫌だし
そのくせまだ和泉を好きな自分も嫌。


もう、心も頭の中のわけわかんなくて、苛立ちを香坂にぶつけるしかなかった。



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