君の瞳に映りたくて。
バルコニーから部屋に戻った私は、香坂にベッドに押し倒されていた。
「ちょ、待っ…」
いきなりキスするなんて聞いてない!!
私初めてなのに……!
「ただいまー」
え?
……この声は…和泉……
「…な、にしてんだよ!」
ドンッー
「…ってぇ…」
帰って来た和泉がそんな光景を見て、思いっきり香坂を突き飛ばした。
きっと、私が無理矢理襲われてるように見えたんだろうけど。
「なにしてんだよ!」
「……彼女にキスしようしてなにが悪い?」
「…かの、じょ?」
「香坂!」
丸く目を見開きて驚いている和泉の横を通りすぎて、私は香坂に駆け寄った。
「大丈夫?」
「あぁ、平気。」
「よかった。」
「……ウソ、だろ?」
後ろから、和泉の震えた声が聞こえる。
そんな和泉の声に、私は立ち上がって和泉を見た。
「和泉、どこ行ってたの?
部屋で休んでるんじゃなかったの?」
「え、あ…いや……
先生に薬もらってそのまま休んでたから」
……また誤魔化すんだね。
「もういいの?」
「あ、あぁ。」
「そ、よかったね。
香坂、私部屋戻るね。また明日。」
「あぁ。」
私は和泉にも「おやすみ」と言って、部屋へと戻った。