君の瞳に映りたくて。



部屋を出て、ロビーへ向かえばすでに多くの人が集まっていて、私たちは人を掻き分けながら荷物を預けに行って、香坂たちを探した。

そのとき、突然腕を掴まれた。


「おはよ。」


「びっくりしたー…
おはよ、和泉。」


昨日の嘘のこと、和泉と優衣ちゃんのこと、私と香坂のこと
いろんなことで気まずさを感じていた私だけれど、和泉はいつものように笑顔で私に近づいてきた。


「ちょっといい?話あるんだけど。
榑林、ちょっと宮下借りるから。
祥也はあっち。適当にごまかしといて。」


「え、ちょ…」


いきなりすぎて戸惑う美乃里だけど、私はもっと戸惑った。
頭がついてかない。
話?ってなにー?


「和泉、どこ行くの?」


「庭。」


そういって園庭へ出られるドアを開けた。
ここから出るのももう3回目だね。


「はい、座りなよ。」


庭に出てすぐのベンチに、和泉は腰を下ろした。
だから私もその横へ座った。


「話ってなに?」


「昨日はごめん。嘘ついて。」


「あぁ、うん。
なんで嘘なんてついたの?」


「いや…特に意味なんてなくて咄嗟に…」


「ふーん。
別に本当のこと言ってくれればよかったのに。」


っていっときながら、実際優衣ちゃんを優先されたことに、すごい嫉妬したんだけどさ。
本当に本当にムカついたんだけどさ。



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