君の瞳に映りたくて。
私は3人が車に乗ったことを確認してから、また助手席へと乗り込んだ。
ここに座った方がリアンに指示出しやすいしね。
「そういえばリアン、学校は?」
「ん?行くよ?
舞桜たち送ったら学校行って、学校終わったら舞桜たち迎え。」
「へぇ、忙しくしてごめんね?」
「まぁおばさんからの頼みは断れないし!」
…基本的にリアンはうちの両親にはすごく優しいんだよね。
好かれるために。
まぁ私にも友達にも優しいけどさ。
「じゃあ出発するよー。」
そういってゆっくり車を走らせた。
「あの、リアンさん
舞桜ってどんな子供でしたか?」
ここで初めて、美乃里がリアンに話しかけた。
しかも私の子供の頃って………
「舞桜ー?
んー、第一印象はそんな悪くなかったかな?
特別よくもなかったけど。
両親と引っ越しの挨拶にきて、舞桜は頭を下げるだけ。
引っ越してきたばっかりの頃はあんまり仲もよくなくて。
だけど1ヶ月くらいたった頃、舞桜をうちで預かることになって。
その時はすっげー暗くて、気つかいまくってて、俺らと関わろうとしなくて。
な、舞桜。」
「うるさいよ。っていうか覚えてないし。」
「いや、覚えとけよ。
まぁ舞桜は友達なんて全くいなかったから、俺とも仲良くする気なんてなかったんだろうな、あの頃は。
だけど俺んちに来ることが増えて、俺の両親も俺も舞桜のことを受け入れてるのに気づいたのか、だんだん明るくなってったって感じ。」
「舞桜、友達いなかったの?」
「…うん、まぁ。
いじめられてたしね。」
「え!?」
いじめ、というよりは人種差別。
肌の色が違うだけで、ここでは人権なんかないような扱いをされる。
きっと昔よりはましになってる。受け入れられてる。
………それでも、子供の世界は残酷なものだ。
差別が0になる日がいつか来るとは思えない。
日本だって、いじめがなくなる日なんか来ないと思ってる。
それが可能なら、きっと世界から戦争と言うものはなくなってるから。
戦争大国アメリカにいて私が出した結論は、人を思いやる心より、誰かより優れていたい、有利にいたいという心の方が強くなるもの、ということ。
誰かのためになにかする、ということはとても難しいということだ。