君の瞳に映りたくて。
「でもさ、舞桜って昔から家族のことが大好きで。
気持ち悪いくらいに。」
「一言余計。」
「だからどんなに辛くても、家族の前ではいっつも明るくて、親と喧嘩とかもあんまなかったと思う。
とくに弟のことはすげー可愛がってて、弟のためなら多少の無茶をしたりしてな。
本当に家族想いだよ、舞桜は。今でも。」
………なんか、照れますね。
「リアンさんは、舞桜のどこが好きなんですか?」
「ちょ、変なこと聞かないでよ!」
「舞桜ってさー、とにかくちょっと無理しちゃうところがあるんだけど、俺の前では素直なんだよね。
泣きたいときに泣くし、本気で怒るし、わがままもいうしね。
強がりなのに、俺の前では泣くんだよ。
泣きたくなったら俺のとこきてさ。
そんなん繰り返してたら好きになるっしょ!
っていうか、こいつには俺がいなきゃダメなんだなーって。」
「………うるさいよ。」
「弟のことだって、俺がいなきゃ泣くことすらできなかったしな?」
………将生が死んで、脱け殻となった私にぶつかってきてくれたのはリアンだけだった。
舞桜が将生の分まで幸せにならなきゃ、将生だって死ねきれないって。
きっとどこかで見てるからって。
将生のことで泣いたのはあれが最後。
あれから私は泣くことをやめて、笑うことにしたんだ。
そしてそれから、私は幽霊というものを信じるようになった。
将生にいつかもう一度会いたくて。
伝えたいことなんかない。
ただただ、将生の笑顔がもう一度みたくて…
「ま、そういうことで俺は舞桜と婚約したわけだよ。」
「だからしてないってば。しつこい。」
「照れんなよー。」
「誰が照れるか。」