君の瞳に映りたくて。



「だから、舞桜には俺が必要なわけ。」


………なんだそれ。


「でも、宮下俺の前でも泣きますけどね。」


「えぇ!?」


「昨日なんて、キレて泣いて。
情緒不安定かと思ったし。」


「ちょ、香坂!
それ言わないでよね!」


いや、確かに情緒不安定気味だったけどさ。


「…舞桜にはもう俺代わりのやつがいるのか…」


「いや、別にリアンの代わりではないけど。
香坂は香坂だし。」


なんでリアンが基準なんだよ、まったく。


「でも、舞桜はなんでその男を選んだわけ?
俺にすればよかったじゃーん。」


「んー…香坂は全部知っててくれてるから。
リアンとは違うとこ。」


「お、俺だって舞桜のことなんでも知ってるし!」


「過去はね。
香坂は今、私がなにで苦しんでるか知ってるから。
私の無茶な話も信じてくれた。
ちゃんと私を見てくれてる気がしたから。」


なんて、本人目の前にして照れるけどさ。
香坂は私が和泉のことを好きでもいいと言った。

夏の、私と和泉の関係だって知ってる。
和泉が幽体になってたことだって信じてくれた。

いつだって、私の目を見て話してくれる。


そんな香坂に惹かれて当然だよね。
………まだ、恋愛感情は生まれてないけど…



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