君の瞳に映りたくて。
「俺も同じことしてたからこそ言うんだよ。
それがどんだけ相手のこと傷つけてたのか、やっとわかったんだよ。
祥也のこと大事なら、安易に付き合ったりしてんなよ。」
「………今さらだよ。」
「なら、さっさと祥也のこと好きになれよ。
………俺が誘ったからって、他の男とキスしようとしてんじゃねーよ。」
「なにそれ…自分から近づいてきたんじゃん!」
「なんで拒否しなかったんだよ。
顔赤くして固まってんじゃねーよ。」
「………和泉が腕掴んでたから動けなかったんでしょ。
それにあんな急に来たらパニクるに決まってんじゃん。
…和泉こそ、なんであんなことしようとしたの。
そういうことしない方がいいって言ったじゃん。」
「宮下に嫌われるため。
ああいうことすればビンタでも飛んでくるかなーと思ったのに、受け入れようとしてんだもんな。
本当、最低だな。」
和泉は下を向いたまま、軽く笑いながら、バカにしたように私に言って、最後に私に視線を向けて
「軽い女なんだな」
と軽蔑したように言った。
それが本当にムカついて、ムカついて…
私は手を振り上げていた。
「やめとけよ。」
その手が降りる前に…和泉を殴る前に、香坂に手を掴まれ、止められた。
「春翔、ちょっと来い。」
香坂は私の手を下ろして、和泉を連れて角を曲がった。
「どうしたの!舞桜!」
「美乃里…聞いてた?」
「私が出てきたときにはもう舞桜が手を振り上げてて…
どうして和泉に…?」
「………ムカついたから。」
和泉に完全に遊ばれてた自分がムカついて、
私のことを遊んで、私を貶した和泉がムカついて、
…和泉が言ったことがどれも本当のことで、図星だからむかついた。
なにもわかってなかった自分が一番腹立たしい。
香坂の気持ちなんて、考えたことなかった自分がむかついた。
「でも手はあげちゃダメでしょ。」
「………そうだよねぇ…。」