君の瞳に映りたくて。


「春翔は、俺が宮下のこと好きなの知ってんだよ。」


「えぇ!?そうなの?」


「なに、俺がそんな自己犠牲に生きてるとでも思ったわけ?
好きでもない女と嘘で付き合ったりしねーよ、俺は。」


「そ、そっか…香坂が舞桜をねぇ…」


「春翔は入学式の日から宮下に目をつけてた。
同じクラスになっても話しかけることもできなかったけどな。
…なのに俺が宮下と仲良くなって、それを妬んだ春翔は負けじと宮下に友達を申し込んだ。
その春翔が今は俺のために自分が嫌われるようなことまでしてんだよ。
俺が別れたって、きっと春翔は俺に気を使う。

………それに、宮下…日本離れるんだろ。」


「聞いたの?」


「聞いた。俺らの関係は宮下が日本にいる間だけだから。」


「あ…だから12月31日までって…」


「それは聞いてたんだ?」


「うん…ただ、舞桜が香坂のこと好きじゃないからお試し期間なのかと思ってた」


「あと2ヶ月…本気で想い合ってる相手と離れ離れになるっていうのに、付き合うと思うか?
春翔はよくても、宮下はそうはいかないだろ。

なら、俺が彼氏やってた方がいいんだよ。
諦めつくだろ、その方が。」


「………そっか。
よく考えてたんだね、香坂も。」


「俺は、宮下から話をよく聞いてるから。
もうこれ以上、傷ついてほしくねーっつーか…」


「へぇ、優しいじゃん。」


「うるせーよ。
つーか話はそれだけなら戻るぞ。」


あの二人…絶対気まずいだろうしな……



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