君の瞳に映りたくて。



それから私は香坂に手を握られ、また歩き始めた。
そんな私の横に和泉が来た。


「どうしたの?」


「…俺さ、優衣に言われた。
付き合ってるときも春翔の瞳にちゃんと映ってる気がしなかったって。
俺、その時気づいたんだよ。ちゃんと優衣のこと見れてなかったって。
だから、優衣が二股してることにも気づけなかった。

…だから次は、次こそはちゃんと見ようって決めたんだよ。」


「…次?」


「そ。」


………それは、優衣ちゃんとやり直すってことでいいのかな…。
…香坂と付き合ってる私に、とやかく言う資格はないけどさ。


「ちゃんと、辛いことがあったら気づけるように。」


「………そっか。
頑張ってね。和泉なら大丈夫だよ。」


「…サンキュ。」


私も、もう忘れるんだ。
ちゃんと香坂だけを見ていく。
大丈夫だよ。きっと。


「あ、ソフトクリームある!食べていい?」


「さっきバーガー残してたじゃん。」


香坂に聞けば、香坂は呆れたような声で返事をくれた。


「いいじゃん。食べたいんだから。
ね、美乃里も食べるよね?」


「うん!」


「やったね!行こ!」


私は香坂の繋がれたままの手を引っ張って、ソフトクリームを買いに行った。



< 353 / 500 >

この作品をシェア

pagetop