君の瞳に映りたくて。



そのあとは温かいお湯に浸かってから、先にお風呂を出た。


そしてバルコニーで、香坂が来るのを待っていた。
メール来てたから。ここにいろって。


「風邪引くよ?」


「あれ、和泉…香坂は?」


「風呂行ってる。
じゃんけんに負けて俺は最後。」


「ふーん、そっか。」


特に会話はないのに、和泉は後ろに立ったまま動かない。
部屋に戻れば良いのに。


「………祥也と待ち合わせ?」


「うん。」


…今日は月がない。星がよく見えるや。
香坂は月より星派か、確か。


「悪い、待たせた。
春翔…何してんの?
風呂空いたけど。行けば?」


香坂はバルコニーに来て、和泉にそう言って私の横に座った。


「お風呂出るの早くない?」


「普通。俺は髪の毛乾かすのもすぐだし。
宮下は髪の毛伸ばしてんの?」


「あー、そういえば子供の頃からずっと長いかも。
乾かすの大変だけどね。」


「…でも下ろしてんの、新鮮だな。」


「ふふ、でしょ?
……あれ、和泉…まだいたの?」


私が香坂の方に顔を向けると、後ろに立ったままの和泉が視界に入った。


「さっさと風呂行けよ。」


「……わかってるわ。」


そう言って和泉はお風呂へと向かっていった。



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