君の瞳に映りたくて。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
「ねぇ、杉山さん。
古文漢文って得意?」
「んー…もう遠い昔ですからねぇ…」
「テストあるんだよ~。
どうしよー。」
国語って本当苦手だもんなぁ…
「以前は和泉春翔さんに教わっていませんでしたか?」
「……和泉は…ケンカ中。
だからもう自力でやらなきゃなの。」
「ケンカ?なんでです?」
「んー…
私が中途半端だからかな?」
「中途半端?」
「あとは内緒です!」
「えー、そんな風に言われると気になりますね。」
「ふふ、まぁ私も女子高生ってこと。」
「あ、もしかして彼氏ですか?」
「うぇ!?」
「大丈夫ですよ、旦那様には言いませんから。
へぇ…お嬢様に彼氏が…」
「その呼び方はやめて。」
「失礼しました。
それで、彼氏ができたらケンカ、ですか?」
「まぁそんなとこっていうか…よくわかんない。
ただ弄ばれてただけみたいだし。
ただね、私が付き合ってる相手が和泉の友達で、私が好きでもないのに付き合ったから、和泉が怒ったの。
私が悪いんだけどさ。
だから、ケンカっていうより私は嫌われてるの。
仲直りとか…できるような感じじゃないの。」
「……それで、いいんですか?」
「…うん。
だって、私なんてあと数日でいなくなるでしょ?
彼氏もいて、なかなか充実してるし、楽しいもん。
和泉がいなくたって、毎日楽しいから。」
元々、和泉がいない時間をずっと過ごしてきたんだし。
和泉と過ごしたのなんて、数ヵ月だけ。
全然大丈夫だよ。
「さーて、勉強しよっと。」