君の瞳に映りたくて。



「ただいま。」


「おかえりなさい。」


「ねぇ、杉山さん。
古文漢文って得意?」


「んー…もう遠い昔ですからねぇ…」


「テストあるんだよ~。
どうしよー。」


国語って本当苦手だもんなぁ…


「以前は和泉春翔さんに教わっていませんでしたか?」


「……和泉は…ケンカ中。
だからもう自力でやらなきゃなの。」


「ケンカ?なんでです?」


「んー…
私が中途半端だからかな?」


「中途半端?」


「あとは内緒です!」


「えー、そんな風に言われると気になりますね。」


「ふふ、まぁ私も女子高生ってこと。」


「あ、もしかして彼氏ですか?」


「うぇ!?」


「大丈夫ですよ、旦那様には言いませんから。
へぇ…お嬢様に彼氏が…」


「その呼び方はやめて。」


「失礼しました。
それで、彼氏ができたらケンカ、ですか?」


「まぁそんなとこっていうか…よくわかんない。
ただ弄ばれてただけみたいだし。

ただね、私が付き合ってる相手が和泉の友達で、私が好きでもないのに付き合ったから、和泉が怒ったの。

私が悪いんだけどさ。

だから、ケンカっていうより私は嫌われてるの。
仲直りとか…できるような感じじゃないの。」


「……それで、いいんですか?」


「…うん。
だって、私なんてあと数日でいなくなるでしょ?
彼氏もいて、なかなか充実してるし、楽しいもん。
和泉がいなくたって、毎日楽しいから。」


元々、和泉がいない時間をずっと過ごしてきたんだし。
和泉と過ごしたのなんて、数ヵ月だけ。
全然大丈夫だよ。


「さーて、勉強しよっと。」



< 372 / 500 >

この作品をシェア

pagetop