君の瞳に映りたくて。



「はよ。」


「あ、おはよ、祥也。
今日なんか先生が話あるって言うから帰りちょっと遅くなるかも。
帰ったらまた連絡するよ。」


「了解。」


「さーてと、走らなきゃ。」


私は祥也と分かれ、先生と準備体操に向かった。
今日も絶対いいタイム出すんだ。


「舞桜ちゃん、ちょっといいかな…?」


「……優衣ちゃん…うん、なに?
あ、そうだ。体操のペアになってよ!」


「え…うん、いいよ!」


優衣ちゃんは前と変わらず、可愛く控えめに私に話しかけてきた。
体育祭のあれが嘘のように。


……うん、あれはきっと幻かなにかだったんだと思う。
優衣ちゃんはそんな子じゃないもんね。


「……優衣ちゃん、ごめんね。
あの日叩いたりして。

修学旅行での和泉との会話聞いちゃったの。
だから…ごめんね。」


「……ううん。あれは私が悪かったの。
私ね、舞桜ちゃんのおかげで目が覚めたの。
春翔にひどいことしたのは私だから。
舞桜ちゃんに殴られて当然だったの。

だから…ありがとう。
私、舞桜ちゃんのおかげでまた前が見れるようになったの。
舞桜ちゃんのおかげで、春翔に謝ることもできた。
春翔と…また仲良くなれたの。
本当にありがとう。」


「ううん、いいよ。
……ねぇ、優衣ちゃんと和泉って、あれからどうなったの?」


「私が春翔のことまだ好きだって伝えたよ。」


「……和泉は…?」


「…………悔しいから教えてあげない。」


「え!なにそれ!」


でも、それってもしかして優衣ちゃんと和泉って、復縁はしてないってこと…なのかな?


「舞桜ちゃんこそ、香坂とどうなの?」


「教えてくれないから私も教えてあげなーい。」


「えー、ずるーい。」


「あはは」


< 402 / 500 >

この作品をシェア

pagetop