君の瞳に映りたくて。



カラオケを出て、イヴの街はどこも混んでて、私たちは河川敷の公園へと避難した。


「あのさ、本当に春翔に言わなくていいのかよ。
アメリカに行くこと。」


「わざわざ言うことでもないかなって。
実際、知ってるのは祥也と美乃里だけだもん。」


「でも春翔は特別なんだろ?
後悔しねーの?…きっと、あいつは後悔する。
絶対に後悔する。だから伝えてやれよ。」


「……いい。和泉が暗い顔するの見たくないもん。
美乃里と祥也の暗い顔だけでもう十分なの。」


…和泉とは笑顔で別れたい。
和泉の暗い顔なんか見たくないから。


「あ、そういや俺に話あるんだって?
英梨から聞いた。英梨と会ったんだろ?」


「え!…まぁあるけど…心の準備が…」


「俺はもう驚かないけど。
気になるじゃん。」


「う、うん…」


私は覚悟を決めて、祥也に向き合った。
自分の気持ちをぶつけるって、英梨さんと約束したんだもん。


「あの…私、祥也のことが好きです。」


「え、あぁ、サンキュ。」


「……だけど、私はやっぱり和泉のことが好きです。」


「知ってるけど」


「和泉のことが好きで、今でも私は和泉の近くにいたいって考えてる。
和泉から離れてるとき本当は辛くて、祥也で寂しさ埋めてた。祥也の優しさに甘えてたの。」


「俺はそれでもいいって言ったと思うけど」


「……私は嫌なの。
ごめん、私は祥也と別れたいです。」


「…あと1週間じゃん。
約束は守れよ。」


「私、祥也のことも和泉と同じくらい大事なの!
だから、こんなこと続けちゃダメだって気づいたの。」


「春翔と同じくらい大事なら、俺を選んでも良いんじゃねーの。」


「……ごめん。」


「じゃあなんで一昨日、お前からキスなんてしてきたんだよ。
春翔の電話より、俺とのキスを選んだんじゃねーのかよ。」


「…あの時はそうだった、けど…」


「俺は認めねーよ。」


そういって、祥也は私の腕を掴んで顔を近づけてきた。


「ちょ、待っ…「うわぁぁぁぁぁ!!!」


……え?

今の声……和泉!?



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