君の瞳に映りたくて。
「あ、ほらいた。」
あ、祥也……
よかった、まだ近くにいて…
「祥也!」
私は思いっきり声を出して、祥也を呼び止めた。
「……なんだよ。」
「だって、このままなんて…」
私は自転車を降りて祥也の近くに駆け寄った。
「別れたかったんだろ?
ちょうどいいじゃん。」
「……ごめん。ごめんなさい。
中途半端に祥也と付き合ったりして…」
私がそういうと、祥也はふぅーと深いため息をついた。
「ばかじゃねーの?
……俺がお前の寂しさにつけこんだんだよ。
だから…そんな謝んなよ。」
「私、いっぱい祥也に頼ってたから…
夏も、そのあとも、最近も…」
「いいって。
だから、もうそんな顔すんなよ。
俺別に舞桜のこと恨んでもねーし、嫌いにもなってねーから。
むしろ、ありがとな。
俺のわがままに付き合ってくれて。」
「わがままなんて全然…むしろ私の方が「もういいって。
この話題ももう終わり。
春翔がついてきたってことは、そういうことなんだろ?
だったら俺のことなんか放っとけよ。
俺、ちゃんとわかってるから。」
「……ありがとう。」
「いいって。
じゃーな。」
「あ、待って!」
「なんだよ、まだなんかあんの?」
「これ、クリスマスプレゼント。」
「……俺に?」
「当たり前でしょ。
これは祥也のために選んだんだから、祥也がもらってくれなきゃ困る。
いらなかったら捨てて。」
この日のために、私はさんざん悩んで腕時計と健康御守。
祥也が怪我なくサッカーができますようにと願いを込めて。
「……わかった。サンキュ。
じゃあこれ。俺から。」
「え、ほんとに?」
「俺は別れる気なんかなかったんだから、用意してて当たり前だろ。」
「そっか。ありがと。
大切にするね。」
「それと……後悔するような答えは出すなよ。
春翔のことも、今後のことも。」
「……うん。」
「じゃーな。」
そういって、祥也は帰っていった。