君の瞳に映りたくて。
「じゃ、次は俺だな。」
和泉はそういって、私をまた後ろにのせて、さっきの公園へと戻ってきた。
「忘れてたのは、舞桜の方だよ。」
「え……どういうこと?」
「俺の初恋は、舞桜だった。」
「……え?」
「本当に覚えてねーんだもん。
俺、おっかしくて。
俺は入学式のあの時気づいたのに、舞桜は全然気づいてくれねーんだもんな。」
「……意味がわからないんだけど…」
「しかたねーなー。
……俺と舞桜は、ガキの頃一緒にここで遊んでたんだよ。
毎日一緒にな。
幼稚園は違ったけど、俺らは毎日一緒だった。
俺のこと、ハルちゃんって呼んでたのすら覚えてねーの?」
ハルちゃん……
…………もしかして…
「あの、目がくりくりな…」
「他にいねーと思うけど?
舞桜が俺以外のやつと遊ぶことなんて、皆無だったから。」
「嘘……だって女の子だった…」
「それも。
女の子みたいでかわいいとか言って、俺をバカにしてたんだよ。
でも俺は、あの頃舞桜が好きだった。
あの丘で、昔一緒に花火も見たのにな。
二人の秘密基地だって言って、よく一緒に行って、親に怒られて……
俺らはいつも一緒に遊んでたのに、舞桜が突然引っ越して…
俺、本当に忘れられなかったんだからな。」
「……うそ…」
「高校で再会したのに気づいてもらえなくて、完全に忘れられてるから話しかけることもできなくて。
……でも、夏休みのあの時、俺は全てを忘れても舞桜のことを好きになった。
目覚めて、またたくさんのことを忘れたのに、俺はまた舞桜を好きになった。
たった16年と数ヵ月で、舞桜を3回も好きになった。
俺、自信あるよ。
もしフラれたとしても、俺は舞桜を諦めることができないって。」
「和泉…」
「……ずっと好きだった。
今も、昔も、俺は舞桜のことばかり目で追ってる。
俺、誰よりも舞桜のことを近くで見ていたいから
俺と付き合ってください。」
和泉はそういって、思いっきり頭を下げた。