君の瞳に映りたくて。



「…じゃあ、和泉が生き霊になったとき私のとこに飛んできたのは、私が昔のこと忘れてるのが許せなかったとかなのかな」


「"ハルちゃんがピンチの時は私が助けるから!"って舞桜が言ったんだけどな
あの時、確か俺の両親が大喧嘩して俺はここで泣いてたんだけど、舞桜が来てさ、俺にそういって、舞桜は俺をつれて家まであがりこんで俺の親に"ケンカしちゃだめ!"って怒鳴ってさ。
それで本当にケンカはおさまったんだよ。
俺が言えなかったことを舞桜は真っ直ぐ強く言ってくれて。
だから俺、ずっと頭の中にあったんだと思う。
俺がピンチでも、舞桜がいれば大丈夫、舞桜なら助けてくれるって。」


「…そうだったんだ…」


全然覚えてない…ハルちゃん…今思い出しても女の子だもんなぁ…


「舞桜が陸上始めたのだって、俺がきっかけだと思うけど」


「えぇ!そうなの?」


「よく一緒に走ってたじゃん。
よく一緒に走ってたから、俺らの親もマラソン選手になれば?とか言っててさ。
俺は舞桜と走るのが好きだったし、舞桜と一緒にマラソンやる!とか言ったら舞桜も、私もマラソンやるー!とか言ったんだよ。
それからだったよ、確か。毎日一緒に長距離走るようになったの。

まぁ今はお互いサッカーと短距離でバラバラの道になったけど、根本的に走ることが好きなのは変わってねーしな?」


「……そっかぁ…」


だから和泉と走るといつも楽しかったのかな…
負けたくない、和泉には負けたくないって、どこかで思っていたのも昔の記憶からなのかな……


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